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zoom RSS  地球をこわす人間

<<   作成日時 : 2011/04/01 05:16   >>

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今年は父の十三回忌。そこで、十二年前の「にいがたしらぎく」の会報をみた。
私の投稿を読み返すと、いまと変わらぬわが思いが書き込まれていた。「人の知恵」に対する私の思いが忌憚なく記されていて、ほっとしている。その「人の知恵」の部分を拾い上げよう。

じつは、私は父母の献体には反対だった。それは、遺体を切り裂くことへの感傷的な感情からの反対ではなく、「人間社会のためにだけ向けられる知恵」に対しての嫌悪感が強かったからだ。
人は「ことば」という記号を用いて文明をつくりあげた。記号とは、細事を束ねて表現することである。
例えば虹の色の数である。実際に虹を見ればわかることだが、赤から紫までなめらかに変化していて色の区別なんかないことがわかる。それでも日本では七色という。虹を五色とする国もあるし、三色と言う国もある。
虹色に区別がないのが真実だが、いくつかに分けて区別することで人は納得できてしまう。科学的には虹の色は無数にあるというが、それも真実ではない。無数とはたくさんあるということで、やはり区別しているのである。言葉で表現するなら「グラデーション」がぴったりだが、それさえも何かよそよそしくて真実からは遠い気がする。
人間以外の生き物はものごとをそのまま感じ取っているのではないだろうか。ほかの生き物は虹を色分けするのではなく、色の変化をそのまま受け止めるのだと思う。

ことばは事物を分けたり組み合わせたりの力を持つ。その力によって人は科学という知恵を得たのである。その知恵をどのように使ってきたかが問題だと思う。

人はいま、石油やウランなど、あらゆる地下埋蔵を使うために知恵を使っている。
地下の埋蔵物が生き物の住む地表を支えていることを認識しなければならない。住む大地の支えを無謀にも堀あげていることを、つまり、地下を空っぽにしていることをしっかり肝に銘じなければならない。
これからは知恵の使い方を変える必要があろう。
人が作り出したものに依存しなければ私たちは生きられなくなっているが、その支えが可能なうちに、方向転換をする必要があると思う。


つぎに、しらぎくへの投稿文を示す。

【父の諦念にふれる】
中澤榮二
父は九十二歳で亡くなた。倒れた日の朝書いたハガキがここにある。「ストレス、この言葉はよく聞くが、私には日本語としての意味がよくわからない。きみは研究しているようだから教えて欲しい」。こんなことを書きよこす父だから献体を望んだのも不思議はないが、私は躊躇する。
私たちは見聞きするすべてを伝えることができないから、例えば0.1から0.9を束ねて1としたり、虹の色を五色とか七色にまとめるように、情報の多くを省略して己のシナリオを作る。生老病死など省略がないのが世の真実なのに、人は言語という記号を用いて解剖し、己のシナリオにする。そうやって起きた文明で地球が壊れるという。生きる地盤と科学文明とは二律背反である。父の献体を迷うのはその点だが、私は事なかれで承諾した。何とも不甲斐ない。
さて、教育者ゆえか父は家族に規範を強いた。高じると孫やひ孫にも思いが露骨だった。勲五等を授かったのには、父からのストレスに家族が耐え、問題を起こす子供がいなかったことも大きい。強いストレスで家族が乖離(かいり)し、ストレス小人症や精神異常者になる危険があると専門書にはある。
私は父を慎重に諫め続けてきた。だが昨年私六十四歳、退職のねぎらいでもらった父の手紙で、この苦い思いは霧散するのだ。
「み諭(さと)しの 旅路は今朝もすこやかに
子供たちのそれぞれの立場で完成に向かって行進されている姿を楽しみながら、毎朝口ずさみながら床を離れる健やかさを感謝せずにはいられない。やがて来る日を神仏におん礼申し上げる機会を考えています」と。
老いるにつれて現世の利益(りやく)よりはるかに高い心の清涼に精神が移ろえば、それが神仏の法力なのかも知れない。
老父はさすがに鈍く、ゆっくりと体をいたわり、だいじに、だいじに動いて、とことん生き抜いた。
これは真の欣求(ごんぐ)だ。いま、父の深い諦念(ていねん)がこの胸に差し込んできて、何もかもが漉されて清水で洗われる思いがする。
(筆者は故人の次男)

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