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zoom RSS 若草萌ゆる春べの心

<<   作成日時 : 2011/12/13 06:50   >>

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編者の記 中澤榮二(作者の次男)

:教職が父の天職:
父中澤芳男は明治三九年生まれで教育者として生き、九二歳で天命を全うした。
「にいがたしらぎく20」での父の記によれば、中澤家は反別合計三十町歩の地主であった。父は、この家督を十五才で継いだ。しかし教育にも興味を持ち紆余曲折を経て教職についた。そして教え子たちが幾十年経っても尋ね来るほどの天分を発揮した。
父は開戦の年の九月、国命を受けて台湾の公学校教諭となり、終戦で帰国して僻地を中心に教鞭を執るうち、昭和二十七年に校長試験を受けて合格した。新潟県は二人の合格者を出したが父はその一人であり、新聞記者が取材にきた。校長として初めての赴任は滝之又小学校で、最終は長岡市立濁沢小学校。勤続四十二年。八十八才のとき、教育者として勲五等を存命受賞。
その素質は生まれ持った天分もあろうが、代用教員時代の体験がその教育信条を培ったと思われる。二十歳の頃に書かれたこの作品にそれが如実に示されている。
作品は六十七年もの間、引き出しに眠っていたが、米寿を迎える際に整理して思いがけなく発見したという。若いときに書いたものが残されていた驚きと感慨が深く、子たち孫たち、ひ孫にも読ませようとコピーし、自らコヨリで製本して紹介文と参考文を添えて七人の子供、私らに配った。それを次男の私がデジタル化して公開する。インターネットは横書きであるため縦書きでの公開は工夫が要るが、日本の文章だからとの思いが強く働き、別のホームページでは縦書きにした。

本文掲載のあとに参考文のページがあるが、これは作者の思い出の記である。しかしながら私自身この懐古文にも感慨深いものがあり、編者として、作者の子として感想を述べてみたい。

父の時代は尋常高等小学校といって六年までが義務で、その後は二年間の高等科に進むか、あるいは受験して旧制中学に進むことができた。旧制中学は五年制だが四年でも高校へ受験できたので父も四年で早稲田に入学した。それは家業か勉学かという狭間に悩んだ末の選択であった。
ところが母親の強い要望に屈して退学することに。そのままでは中学の卒業資格もない。そこで三条中学の五年生に編入するのだが、そのへんの事情を本文と懐古文とで読み比べるのも一興である。
私は、改良時計の話は感無量だ。幼い頃、家の柱時計が朝夕に時報がたくさん鳴った。父が滝又小学校に赴任したころのこと、私は柱時計を分解しては時報の仕組みを探った。母は「お父さんが改良しなさった」と言たが、朝遅刻しないよう時報が多く鳴るようにしたのだという。もとはと言うと、父は、神明町の南部自転車店の協力を得て学校の時計を五〇分授業に対応させたのである。
つい最近(私が60歳の頃)知ったことだが、私の母校、西鱈田小学校の時計も父が改良したのだ。私は昭和十六年に国民学校初等科に入学し二十二年に卒業した。その年に新制中学が制定されたが西鱈田小学校を間借りすることとなり、通算9年間通った。その間、父が改良した時計が刻む時報にみちびかれて学校生活を送ったことになる。時計の改良は若き日の父の所行であり、知るよしもなかった。
十五歳で地主になった父は、教員をつとめつつも小作たちと合理的な生き方について調停を結び、地主の税金と小作の肥料資金との調整や、双方の子弟の教育費について計画実行するための貯金組合「安節会」を、諸橋忠雄氏の積極的な協力の下で設立し、集会所も建てた。
ある時期、周辺が小作争議で揺れたが、周辺最大の地主である父の東本成寺だけは平穏だった。その集会所はクラブと呼び、普段は子供らの遊び場であり、私もそこで遊んだが父が苦心の建物とはつい最近まで知らなかった。
近年、クラブは新しく建て替えられたが、父のこうした苦労を知る人は、わが郷村にはもう居ないだろう。
  父の作品「若草萌ゆる春べの心」につづく

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